◎あなたのサークルは、世間知らず御曹司の隣に配置されました。

「たしかに、それじゃ貴志(きし)兄さんと同じになっちゃうね」
「そういうことです」
 貴志兄さん? 長男の秋貴さんとはまた別の名前が飛び出す。

「じゃあ一キロメートル以内で。早く終わらせて行くからね」
 尚貴は真剣な顔でそう言うと、応接室を出る。どこに行くんだろう。小さなネジ工場しか知らない愛里は、社会見学みたいな気分で後に続いた。
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