◎あなたのサークルは、世間知らず御曹司の隣に配置されました。

(うーん。ご飯は済んでるし、面白そうなところとしてはマーケット通り、かな?)
 社員寮や来客用のホテルもある社内には、暮らしに便利なショッピングモールがあるらしい。敷地から出なくても十分生活ができそうである。
(すぐ近くだ。行ってみようかなー)

 さらによく見ると時刻表が載っていた。
(時刻表? なんの……? ああ、社内バスが巡回しているんだ)
 街のように広すぎる敷地だとバスも走るらしい。ここ研究棟前にももうすぐ停まるようだ。

 窓ガラス越しに小さめのバスが見えた。
(ちょうど来た! 無料みたいだし、バス、乗ってみたいかも!)
 愛里は立ち上がると自動ドアを出る。

「乗ります乗ります!」
 挙手したまま小走りに駆け、停まってくれた運転手にお礼を言って乗車した。奥へ進み、空いている席に着く。乗車率は半分ほどといったところで、その大半がサラリーマンだが、何かの用事で来た一般人っぽい人や、学生服を着た未成年が数人乗っていた。
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