◎あなたのサークルは、世間知らず御曹司の隣に配置されました。

 持ち場に戻った尚貴に代わって出てきた郡山に嫌いな食べ物はないか聞かれ、特にないと答える。
(さすがというか、こういう予約は郡山さんがするのかな)

 研究棟にはハンバーガー屋のチェーン店が入っていたのでそこでポテトだけ注文して待つこと二十分。

 店に黒服の男が入ってきた。エレベーターに連れ込まれたトラウマから身構えたらその人は郡山で、
「尚貴様がこちらに向かわれております。ご準備を」
 と、愛里を迎えに来てくれたのだった。

 仕事を終えた尚貴と合流する。
「おまたせー!」
「なおさん、お疲れさま」
「ありがとう」

 研究棟を出ると黒塗りの車が一台待機していた。外に立って待っていた運転手さんが一礼する。夏コミの時に迎えに来ていた人と同じ人だ。
< 196 / 295 >

この作品をシェア

pagetop