◎あなたのサークルは、世間知らず御曹司の隣に配置されました。
乾杯用のスパークリングワインには、自家製だというスパークリングウォーターを目の前で注入してくれて、早くも「ほらね普通とはなんか違うぞ」と感じ始める。
まず前菜として出てきたのはズワイ蟹を使った小さなタルトで、人差し指と親指で丸を作った大きさにも満たない量しかなかった。でもこれだけで一体いくらなんだろう。あと皿の周囲にソースが点々と置かれていてすごくおしゃれだ。
「どう? おいしい?」
「はい……」
と答えつつも、正直、緊張で味が全然わからない。
でも……ううん、やっぱ格別美味しいような気がする。
あ、スパークリングワイン、食前酒って言ってたから食べる前に飲まなきゃいけなかったかな。
愛里があわててグラスを手に取ると、それはぶどうの味がはっきりした辛口のもので、辛くてむせた。
「大丈夫? エリンギちゃん」
「ケホ、はい……」
空になったグラスを置き、
「け、けっこうなお手前で」
しまった。テンパって変なことを言ってしまった。
(わたし、茶道部かっ!)
心の中で自分にツッコミを入れて、心の中でフフッと笑う。もう自分自身までわからなくなっていく。
まず前菜として出てきたのはズワイ蟹を使った小さなタルトで、人差し指と親指で丸を作った大きさにも満たない量しかなかった。でもこれだけで一体いくらなんだろう。あと皿の周囲にソースが点々と置かれていてすごくおしゃれだ。
「どう? おいしい?」
「はい……」
と答えつつも、正直、緊張で味が全然わからない。
でも……ううん、やっぱ格別美味しいような気がする。
あ、スパークリングワイン、食前酒って言ってたから食べる前に飲まなきゃいけなかったかな。
愛里があわててグラスを手に取ると、それはぶどうの味がはっきりした辛口のもので、辛くてむせた。
「大丈夫? エリンギちゃん」
「ケホ、はい……」
空になったグラスを置き、
「け、けっこうなお手前で」
しまった。テンパって変なことを言ってしまった。
(わたし、茶道部かっ!)
心の中で自分にツッコミを入れて、心の中でフフッと笑う。もう自分自身までわからなくなっていく。