◎あなたのサークルは、世間知らず御曹司の隣に配置されました。
 お次の料理、まず目に飛び込んできたのは透明なクッションのようなお皿で、中央がくぼんでいる。そこに鮮やかな黄色の……なんだろう? 液体のような個体のような物体。とろりとしたその周囲には模様のように角切りの脂? が散りばめられ、中央には繊細な白い泡が盛られていて、上にコーンが一粒だけ浮かんでいる。そしてスパイスが少々。まるで芸術作品のような佇まいである。

「こちらはコーンスープになります」とシェフ。

「えっ、これコーンスープなんですか!?」
 こんな凝ったコーンスープも世の中にはあるんだ。
 スプーンでひとすくい。あと二、三口分しかないなと計算しながら口に入れると、

「わっ、これ、甘……っ! 美味しい……」

 甘さにはっとした。抜群に糖度が高い。そしてこの濃厚な……なんだろう、と思ってメニュー表を見る。とうもろこし・鴨・フォアグラを組み合わせたスープだって。なにそれめっちゃ高そう。でもすっごく美味しい。別々に食べたって立派にメインディッシュを飾れそうな高級食材をまぜこぜにするなんて、罪深いほどに贅沢だ……。
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