◎あなたのサークルは、世間知らず御曹司の隣に配置されました。
「今までせっかく敬語じゃなかったのに、どうして急に敬語になるの?」
「えっ」
本当だ。自然と敬語になっていた。
「ああっ。なんでだろう……? んと、なおさん、やっぱりすごい世界の人なんだあって思いまして……はい」
愛里が開き直ってへりくだると、
「別にそんなことないよっ」
尚貴はちょっと拗ねたように唇を尖らせる。
人形みたいに整った顔に、人間味が滲む。
なおさんって、こんな表情もするんだなあ、なんて、その顔に見惚れたりして。そして、こんな顔もやっぱり美人だなあって、ますます恐縮してしまう。