◎あなたのサークルは、世間知らず御曹司の隣に配置されました。

 目の前の、しょげたような尚貴を見て、たぶん自分もずっとそんな顔をしていたと気付く。

 ……もしかして、なおさんも、同じことを思ってくれていたのかな。

(そ……っか)

 なおさんも、私に笑ってほしいと思ってる、んだね。

 だけど、そんなこと言ったって……だって、知らないんだもんこんな世界、私、自信ないよ。

 コミケ会場では頼りない尚貴を助けて堂々としていられた。今度は逆なのだ。

 知らない世界、知らない常識、好かれたいのに嫌われるかもしれない不安、迷惑をかけてしまうかもしれない恐怖。

 もう、へとへとだ。
< 208 / 295 >

この作品をシェア

pagetop