◎あなたのサークルは、世間知らず御曹司の隣に配置されました。
「なおさん、あのね」
愛里は思い切って口火を切る。
「どうしたの?」
「その……」
さっきまでの反省を活かし、無理や背伸びをしないで素直に思いを伝えてみようと思うも、どう言ったらいいのか悩んでしまう。
「あのね、今日、すっごく楽しかったの。会えてとっても嬉しかったし。だけど、その……」
隣に座る尚貴が小首を傾げてこちらを眺めている。
車は夜の道を名古屋とは逆方向にまっすぐ進んでいく。
自宅から、どんどん遠ざかっていく。
自分だって、尚貴の実家なんて喜んで行ってみたい気持ちだ。
ただ、単純に体力の限界。
それを、伝えなくては。