◎あなたのサークルは、世間知らず御曹司の隣に配置されました。

 自宅に送り届けられた時には九時を回っていた。
「ただいまー……」
 愛里はふらふらしながら玄関を上がる。

「あらお帰り……いっ!? あんた、服どうしたの!?」
 娘の見慣れないスーツ姿に、母はびっくり仰天していた。
 しかも見たことのない種類のおしゃれスーツだ。
「ちょっと、うん、いろいろあって買ってもらったの社長に……」
「買ってもらった!?」
「車も会社に置いてあるけど、心配しないでね」
「どうやって帰ってきたの!?」
「送ってもらったの。明日は休みで出かけるけど迎えに来てもらうから、心配しないで」

 説明するには大変すぎるのでこの辺りで終わらせる。

 ここまで頑張った。早く窮屈なこれ脱ぎたい。
 愛里はリビングにも行かず、そのまま洗面所へ直行。お高めスーツを丁寧に脱ぐと、メイクオフし、すぐ湯船へ。
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