◎あなたのサークルは、世間知らず御曹司の隣に配置されました。
ちゃぽん。
全身を湯が包み込み、べたつく汗がとけていった。
はあー……。
ため息を三回くらいついてもまだ足りない気がする。
なんかもう、現実についていけないよ……。
コミケで隣同士になったサークルさんが、大企業のフジタの御曹司で、その人と連絡が取れなくなったと思ったら会社を経由して呼び出されて、どうにか食事まで行っちゃった。
それで明日はご実家にお邪魔するんだよ?
信じられる?
キャラカクテルとかもうどうでもよくて、なおさんの実家にお邪魔するというイベントが大きくのしかかる。いや、キャラカクテルも楽しみだけど。楽しみだけど、その他の要素がデカすぎる。
これってさ。
これって?
あの……
恋なのでしょうか。
なおさんは世界のフジタの御曹司で、世間知らずというかズレてるというかちょっと変わってるけど、でも、なんだか心が綺麗で……。まあ見た目も綺麗なんだけど。
そんな相手に? 本当に?
ぶくぶくぶくー。
でも明日の約束もできたし、またこの次の食事の約束もしちゃったんだよたしかに。
体温が上がっていく。
ああ、本当に疲れた。疲れ果てた。
心地よい疲労とはいえ、限界。
そう思うのに、風呂場で自分を磨くのに時間がかかってのぼせかけた。
そしてあまりにも疲れすぎているせいか、布団に入ってもなかなか寝付けなかった。
スマートフォンも手放せなくて。
なおさんからLINEが来るんだ。
なお:今日はどうもありがとう[にっこり絵文字] 明日すごく楽しみ!![お花マーク]
愛里:こちらこそごちそうさまでした。とてもおいしかった。テーブルマナー勉強させて!
幸せ。