◎あなたのサークルは、世間知らず御曹司の隣に配置されました。
 藤田邸。

 お屋敷、城と呼ぶにふさわしい大きさで、そして美しい。
 くすみのない白色は、手入れが行き届いている証だろう。

 今は日が長いため六時前でもまだ明るいが、玄関までのアプローチの白石段はライトで照らされていた。

 見上げるほどの高さの重そうな扉をドアマンに開けてもらい、中へ。
 玄関はまた素敵な空間だった。

 はわー。お城みたーい。

 二層吹き抜けのエントランスホールで、広く、ぐるりと見まわさないと視界に入りきらない。頭上には豪華なシャンデリアがあって、あれが落ちてきたら確実に死ぬ。

 窓からの光を取り込む横長の鏡も周囲を銀色で繊細に縁どられて優雅だ。

 でもそれ以外は華美ではなく、こういうのをモダンエレガンスというのだろう。
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