◎あなたのサークルは、世間知らず御曹司の隣に配置されました。
「いらっしゃいませ、愛里様。おかえりなさいませ、尚貴様」

 一列に並んで一礼するメイドや執事などの使用人達。
 愛里は用意されたスリッパを履きながら、慌てて頭を下げた。

 二階には細い螺旋階段が続いていて、沈みこむような深い味わいの絨毯を踏みしめながら上へ。

 軽やかなシャンパンゴールド色の細い手すりが、クラシカルに現代の鋭さをプラスしている。触れるとひやっと冷たかった。

 こんな場所に来ることができただけでももう一生モノの経験に思える。
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