◎あなたのサークルは、世間知らず御曹司の隣に配置されました。
「郡山、練習用のカトラリー用意してくれる?」
「はい。かしこまりました。ご用意出来次第伺います」

 テーブルマナー講座も忘れず用意してくれるようだ。うん、お願いします。こんなの、ますますお願いします。

 画廊を通り抜け、案内されたのは尚貴の私室だった。

「わあっ……」

 扉を開けた瞬間、思わずまたため息が出た。
 そこはクラシカルなロマンスを追求したような別世界が広がっていた。

 ソファから生け花まで全体的に白色で統一された中で、深いブルーカーテンが目を引く。そのカーテンのドレープは、なんかもうお城!! って感じ。

 柱や腰壁はヨーロッパの伝統様式を模しているらしく、繊細なデザインを彫られた溝がエレガントさを演出している。

「ごめんねちょっと少女趣味入ってるけど」

 照れながら尚貴は、ソファへ座るよう促す。
 たしかに家具は猫足だったり花柄だったりで、うんと可愛らしい。
 シャンデリアもすずらんの形をした花の中にライトがついている。

「ううんっ、素敵。なおさんらしいって思う」

 奥には思った通り、天蓋付きベッドがあったりして。

「可愛すぎる……」

 でも女の子らしい、というよりは上質でエレガントでピュアって感じで、別に性別は問われないだろうと思った。男とか女とか以前に、クラシカルロマン。

 うっとりだ。
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