◎あなたのサークルは、世間知らず御曹司の隣に配置されました。
「よくなーいっ。よくないもん。全然うまくできてないのわかるもん」
「あ、あはは……一生懸命なのはいいことだね」
「なおさんは優しすぎるよっ」
「可愛いからいいのに」
「だめ! もう一回やらせて!」
「いいよ、何度でも」
 
 あれっ座る位置は、この辺で良かったかなぁ……?
 テーブルとの距離、ちょっと狭すぎるかな?
 なおさんは何にも言わないけど……。

「んー……」
 何か言いたげな尚貴だが、表情から合っているかどうかを読み取るのは難しい。それに時間がかかる。いいのかダメなのかはっきり言ってくれないとわからない。

「入室から退室、和・洋・中・アフタヌーンティまでそれぞれやると結構時間かかるねー」
 ぽつりと、尚貴が言う。
「あ、そんなにあるんだ……」
 なんか途方もなく感じてきた。
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