◎あなたのサークルは、世間知らず御曹司の隣に配置されました。

「エリンギちゃんとテーブルマナーのことで過ごすのもいいけど、僕としては漫画の話が早くしたい、かな」
「私も、マナーだけで終わるのはちょっと本末転倒というか……。なおさんと楽しく過ごすためにマナーを覚えたいのに、その時間が減っちゃうのはもったいないね」

 ていうかなおさん優しすぎて、どこがどう悪いとか指摘もあんまりされないし、なーんか、本当にこのままでいいのかなぁ……?

「じゃあ、うーん……奥の手を使う?」
 尚貴が突然そんなことを言い出した。
「奥の手?」
「そこまで覚える気があるなら、一つ方法があるんだ。レッスンが短時間で終わって作法もしっかり身に付く方法。――僕はできないまま戻っても構わないけどね」
「え?! そんな方法があるならぜひお願いします!」

 ふう、と一つ深呼吸を始める尚貴。郡山に目配せをする。
 その後、郡山と目が合う。
 
 あれっ、なんか、嫌な予感がするのは、気のせい?
 ……獣のような目をしていたけど。
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