◎あなたのサークルは、世間知らず御曹司の隣に配置されました。
それからみっちり一時間半、なおさんとの食事が始まるまでしごかれた。
それはそれは気の抜けない、濃い時間だった。音を上げたりもした。
「もう嫌だ!! もうレディになれなくてもいい!!」
「ん、それじゃ御曹司に恥をかかせ続けていくんだな。それでもいいんだな。今おまえが決めたことだからな」
「やだー!」
「じゃあやれ!! はい始めから!」
「ひぃぃぃ」
けれどピリピリとした緊張感は、尚貴との甘々レッスンとはまるで違っていた分、メキメキと上達するのを感じた。
そのおかげで……
「すごいすごい、エリンギちゃん! さすが、もう立派なレディだよ!」
なおさんとの食事も、自分でも別人のように振る舞うことができた。
自分の世界観が変わるほどの、なかなかのご令嬢ぶり。
「あ、あはは……ありがとう! ありがとうなおさんありがとうもっと褒めて」
だから食事の間は、漫画そっちのけで尚貴にべた褒めしてもらった。
郡山が厳しかった分、尚貴には思い切り甘やかしてもらう。
郡山とはなるべく目を合わせない。
粗はたくさんあったのが、自分でもわかっていたので……。