◎あなたのサークルは、世間知らず御曹司の隣に配置されました。

 愛里は立ち上がらんばかりに、

「初めは仕方ないと思います!! 自分たちの他にも、こんなにいっぱいサークルさんがいるんだし、なかなか見てもらえないですよ! でも、参加しているうちに、仲間が増えたり、あとはやっぱり気に入ってくれる人も、いつか現れます」

「そうでしょうか」
「そうだと思いますよ。みんな、めげない心でやってますから」

 強く微笑んでみせる。

 さて、あまり話し込んでもいけない。自分以外のお客さんとのエンカウントも増やしてあげたい。

 彼も時間が惜しいことに気づいたのか、

「あ、おつり、六百円……渡さなくてはいけませんね」
 と、鞄をごそごそあさり始める。

「少々お待ちを。……って、あ、しまった」

 ハンカチを持った反対の手には……

「細かいのがありません」

 がくっと項垂れる彼に、愛里は意味が分からず自分の目を疑った。

 ――《《百万円の札束》》が握られていた。

 !!!?!??????

 札束!?
 子ども銀行のオモチャ?
 それとも、なんちゃって札束風のメモ帳かな!?
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