◎あなたのサークルは、世間知らず御曹司の隣に配置されました。
「郡山もプロだから、僕達の邪魔はしないよ」
「え、そう……?」
ちらりと郡山の方を見る。
こちらに半分背を向けて、盆を片手に微動だにせず立っている。
僕達の邪魔はしない、って……どういうこと?
愛里のその視線を奪うように、尚貴が言う。
「試してみる?」
愛里は思わず尚貴の方を見上げた。
髪をかき上げるしぐさが、すごく色っぽい。
ドキッとする。
試すって、何を……!
我が物顔でこの場を制圧する王子のような尚貴の姿勢に、愛里はたじろぐ。
「なおさんも、酔ってるの……?」
「酔ってないよ。僕、お酒は強いんだ」
たしかに愛里の酔いが回ってからは、一口飲んでは尚貴に残りを飲んでもらうばかりだった。尚貴は愛里の二~三倍は軽く飲んでいるのに、平気そうな顔。
うん、なおさんって、お酒強いんだな……って思った。
だからこれは、誘ってる……?