◎あなたのサークルは、世間知らず御曹司の隣に配置されました。

「……描けた」

 一言つぶやき、尚貴はガーガーと印刷を始める。

「エリンギちゃん」

 そうして出てきた紙を、差し出してきた。

 はいはい原稿チェックですね、どれどれ、と目を落とすとそれは、カラー原稿だった。事細かく描き込むのは尚貴のいつもの作風だが、今回は何人ものキャラクターが集合写真のように並んでいる。

 んん?
 あれっ、これも、これも、なんか見たことあるキャラだぞ。

 見たことあるっていうか、この真ん中の金髪少女は『宮廷プリンセスナイト』の主人公で、隣はハル王子、それから、こっちは『夕空カフェでアフタヌーンを』のヒロインだし、こっちも……うん、全部、私の作品のキャラクターだ。

「お誕生日おめでとう」

 にっこりと、少し照れながら笑う尚貴が、こっちを見ていた。

「え……っ!」

 ぱっと顔を上げて見た机上のスマートフォンの画面には、11月10日の文字。

 あ……今日、私の、誕生日?!
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