◎あなたのサークルは、世間知らず御曹司の隣に配置されました。

「あれっ、なんで、知ってたの!?」

 誕生日なんてなおさんに言ったっけ!?

「関わる人のことは、郡山が身辺調査をするからね。それで知ってたんだ」

 な、なるほど……!

 改めて、イラストを見る。
 一面に繊細優美ななおさんらしさが感じられる、私の作品のキャラクター集合絵。

 不思議な感じだ。自分の作ったキャラクターが、違うクリエイターの手によって描き出されている。

「エリンギ先生のファンアート、だよ」

 ファンアート。
 これが、ファンアート!

 私の作品の二次創作……っ!

「……ありがとうっ!」
 
 夢みたいだ。
 憧れだった。

 自分の作品を、誰かが二次創作してくれること。

 それは夢のまた夢だった。デビューして、有名になって、絵まで描いてくれるファンを獲得して初めて叶うことだから。

 これは、一生の宝物だ。

「嬉しい……なおさん、本当にありがとう」

 髪の毛の描き方や、影のつけ方も自分と全然違う。こんな風に私も描けたら、もっと表現の幅が広がるんだろうな。
< 280 / 295 >

この作品をシェア

pagetop