◎あなたのサークルは、世間知らず御曹司の隣に配置されました。
「なおさんって、本当に絵がうまいんだね。自分の未熟さを思い知る……」
「そんなそんな」
いつもと同じ袢纏姿のまま微笑む尚貴は、
「喜んでくれて、よかった。ごめんね、本当はちゃんとしたプレゼントを用意出来たらよかったんだけど、お金もないし、手作りする時間もないし……。どうするべきかずっと悩んでたんだ」
ちょっぴり言いづらそうに言う。
「それでね、習作としてエリンギちゃんの作品をね、描いてみたんだよ」
時間もないし、お金もない。そんな中で、それでもどうにかして何かを贈ろうと考えてくれたのがこの習作絵なんだ。
どんな高価なプレゼントより、どんな手作りプレゼントより、
「ありがとう。とっても、嬉しいよ」
嬉しい。
プロ漫画家を目指すなおさんからの、私へのプレゼント。
胸の奥が、ドキンと跳ねる。
ああ、私、わかったよ。
こんなにも、なおさんのことが、好きなんだ。