◎あなたのサークルは、世間知らず御曹司の隣に配置されました。

 公園にたどり着いて、愛里がふらりと足を踏み入れると、郡山も続く。付き従うように後ろを歩かれるって、尚貴はこんな気分なのかとちょっと新鮮だ。

 時刻は九時を回っていて、人影はなかった。まだ深夜とは言えない時間帯だが、一人では怖いと感じただろう。郡山が同行してくれてよかった。

「郡山さん」

 ブランコの前の手すりに腰を下ろし、愛里は話しかける。

「ん? なんだ」

 キザな執事モードは辞めて、普通の年上男性モードに切り替わった郡山が、タバコに火を着けながらちらりとこちらを見た。ライターの火に赤く染まった横顔が、大人っぽくて、愛里は泣きつきたいような衝動に駆られてしまった。

「……なんでもないです。その……、ついてきてくださって、ありがとうございます」
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