◎あなたのサークルは、世間知らず御曹司の隣に配置されました。
どんなに売れなかろうが、
未熟で無名の素人だろうが、
期待と愛情を込めて制作したであろう大事な作品を、
誰であろうと「こんなもの」と軽蔑して呼んで、勝手に片付けて、
そんなふうに邪魔することだけは、絶対に許せない。
「あのっ!!」
愛里は立ち上がって声を張り上げた。
「なんですか?」
片付け作業中の郡山にジロリと一瞥される。
だが、愛里はもう止まらない。
「ここはコミケですよ! 自由に作品を売り買いする場所なんです! 買いに来たわけじゃないなら、あなたがどうぞお帰りください!」