◎あなたのサークルは、世間知らず御曹司の隣に配置されました。
「あの……、お座りにならないんですか?」
だけど愛里にとっては、まったく普通のことじゃない。まるで非日常だ。
スーツなんてきちんとした身なりの人に後ろに直立されたままというのは、気が散る!
「仕事中ですので」
「でも、おひとりなのに立ってるの変ですよ」
この人も常識が通じない人かもしれないと、ちょっと首を突っ込んでまた言ってしまった。
ジロッと視線で射貫かれる。
う、怖い……。
さっきからこんな小娘にごちゃごちゃ言われて、やっぱ怒っているよねこの人。
そもそも、一回りくらい年上だし。男だし。
しかし郡山は、片眉をくいっと下げると、
「お嬢さん、あのな。さっきはすまなかった」
ぼそりと、すまなそうにそう謝ってきた。