◎あなたのサークルは、世間知らず御曹司の隣に配置されました。
ここにいさせてほしいとこいねがう真剣さの熱量は、たしかに愛里の作品制作の熱量と匹敵しているように感じた。
「わかりました」
愛里は大人しく引き下がった。
郡山は安堵したように、顔を元の位置に戻す。
すると、
「あの人にあんまり関わらない方がいい」
「へ?」
もうまっすぐ前を向いたままこちらに視線を合わせず、冷ややかにそう告げてくる。
「あの人はああ見えて、大企業の御曹司でね。名前を言ったら、たぶん誰もが知っているようなグループで」
遠くを見据えながら。
「そんな人に嫌われでもしたら、生きていけなくなる。関わるのはやめたほうがいい。常識だって違うんだからな」