◎あなたのサークルは、世間知らず御曹司の隣に配置されました。

「今日はよろしくお願いします」
 こちらから挨拶すると、あっと驚いたように一呼吸あって、
「よろしくお願いします」
 と、とても丁寧に頭を下げられた。声からするとたぶん男だ。弦楽器のように綺麗な声だったけど。

 それにしても動作がいちいちこの場に馴染んでいない。

 彼が箱を下ろすと、純白のふわふわフリルが広がった。女性ものを男性用に仕立て直したような、変わった服を着ていた――まあ今日は「ハレの日」だから、それはどんな服でもいいのだけど、汗だくで、とにかく暑そう。

 彼はゆっくりとした手つきでダンボール箱を開け、品物を並べたり、値札を付けたりし始める。
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