◎あなたのサークルは、世間知らず御曹司の隣に配置されました。
愛里はお安い御用と顔を向ける。
すると。
――わあ。
真正面から見た彼の顔は、とても整っていて、精巧に作られたお人形さんのようだった。
なんかもう、性別とか超越したような美しさを感じる。
不思議な世界観の服装も、彼の独特の雰囲気に合わせて仕立てられたものだったのかと納得するほど。
「あ……ありますよ、差し上げます。一枚で足りますか?」
「はい。ありがとうございます」
いけない、ぼうっとしてしまう。
なんて綺麗な人なんだろう。
「かっこいい」も「かわいい」も似合わない。工芸品のようにただただ美しかった。彼の周囲だけ、彼に合わせた色調で彩られていくよう。自分が彼を作りし神なら、パーフェクトな自信作として展示しておきたいと思うだろう。
心の中の時が止められてしまってから、どれほど経ったことか。