上司と私の偽恋愛 ※番外編追加しました※
雅とランチから帰ったあと各チームごとにミーティングを行いそれぞれが自分の仕事につく。
オフィスにいると一日中結城課長の話題ばかり耳にするせいかなんとなく疲れてしまう。
オフィスを出て通路の1番奥にあるドリンクコーナーに行って自販機に小銭を投入する。
疲れてるから甘いのがいいな。
私はホットのカプチーノ缶のボタンを押した。
ドリンクコーナーは広くはないが小休憩できるように小さめの椅子が設置されてる。
私は窓に近い椅子に座ってそこから見えるビルだらけの景色をぼぉーっと見ていた。
温かいカプチーノをひと口飲んだ時左隣から「おい!」と声がした。
私?っと左側を見上げると結城課長が不機嫌そうな顔をして立っている。
あ、本当にいたんだ……。
「……お疲れ様です」
ぼぉーっとした頭をフル回転させてとりあえず座ったままペコっと頭を下げて挨拶をした。
すると結城課長はさらに険しい顔をして眉間に皺を寄せている。
あ、雅と一緒だ。
ランチ時に見せた雅の顔と結城課長の顔が重なっておもわず “ふふっ” って思い出し笑いしてしまった。
「なんか楽しいことでもあったのか?」
結城課長は更に不機嫌そうに聞いてくる。
「いえ、昼間似たようなことがあって、ちょっと思い出し笑いです」
ニコッと笑って結城課長を見た。
「藤井、今日の夜予定ある?」
ぶっきらぼうに聞いてきた結城課長はそう言ったあと顔を上げて窓の外を眺めてる。
「何もありませんよ」
残業やめて帰るつもりだったし。
顔を上げてる結城課長を見ながら答えると、スッと目線を下げて私と視線を合わせた。
数秒見つめ合ったあとほんの一瞬フッと優しい目をしてゆっくり私の横顔に近づいてきた。
「じゃ、いつもの場所な」
そっと耳元で囁いて結城課長は去って行った。