上司と私の偽恋愛 ※番外編追加しました※
「……雅、急に来てごめんね」
「ううん、気にしないで。それより大丈夫なの?」
心配そうな顔で見つめる雅に全てを話すと、ずっと胸の奥が重たくて息苦しさを感じていたのが心なしか少し軽くなったように思えた。
「結城課長のした事は最低だけど、私はね亜子が本気で人を好きになれたことが嬉しい。あんな男見返してやろう!」
最後に右手をグーにして顔の横に上げながら意気込んでる雅を見たら思わず笑ってしまった。
本気になるつもりなんてなかった。
大切な人を失った時の辛い気持ちをもう2度と味わいたくなかったから……。
それでも全てを知っている雅は今の私の方がいいのだと言ってくれた。
「今はさ、課長のこと無理に嫌いになる必要ないと思うよ。自分の気持ちを否定しても辛くなるだけだし、自然に委ねることで上手くいく事もあると思うの」
嫌いになれたら楽かもしれないけれど今の私はそれでも結城課長が好き。
雅の言う通り時間が過ぎれば平気になるのかもしれない。
「バカだね私」
「そんなことないよ」
頬を伝う涙を雅がティッシュで拭いてくれる。その仕草が2人ともなんだか可笑しくなって「あははっ」と笑い出す。
「亜子はパッチリ二重が可愛いのにこれ以上泣いたら明日ぷっくり一重になっちゃうよ! 嫌でしょ! だから泣くのやめよ」
たしかに泣いた後の次の日は目が腫れて誰か分からなくなるほどほど別人になる。
雅に勧められてシャワーを浴びると布団が用意されていて雅からパジャマを借りた私は布団に入り、腫れてきた目を冷たいタオルで冷やしながらいつの間にか眠ってしまった。