上司と私の偽恋愛 ※番外編追加しました※


家に着いて1時間ほど寝てから仕事の続きをしに会社へ向かうとビルから亜子が急いで出てくるのが見えた。

昨日、真奈美と一緒にいるところを見られたあげく目を逸らされたのもあってなんとなく気まずくて思わず入り口付近にある看板に隠れた。

何やってるんだ俺は?
足早に横付けしてるベンツ脇に立っていた男が荷物を預かり急いで車に乗り込んだ。

男はどうやら運転手らしいが、亜子の横にいる男は見覚えがある。
昨日亜子と一緒にいた男だ。

目が離せずじっと見ていると亜子の隣にいる男と目が合った。
車はすぐに走り出し俺はしばらくの間車が見えなくなるまでその場に突っ立っていた。


いつまでもここにいたところで始まらずオフィスに入り昨日の仕事に手をつけるが、朝まで飲んだせいなのかそれとも別のせいなの か全くはかどらない。


俺と目が合ったあの男は一瞬笑ったように見えた。
クソッ!気にくわない。
苛々が限界に達し、俺は席を立ちドリンクコーナーでブラックコーヒーを一口飲んでため息をついた。


「結城課長がため息なんて珍しいですね。朝まで飲んでたんですか?」

振り返ると鞄を持って桐生が立っていた。

「あぁ、悪い、酒臭いか?」

「まぁ少し。でも今日は休日だしいいんじゃないっすか?」

さすがに朝まで飲めばまだ酒も抜けてないかもな。
智史のしつこさに負けて付き合ったもののやはり先に帰ればよかったと後悔する。


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