上司と私の偽恋愛 ※番外編追加しました※
「この歳になって朝まで飲むもんじゃないな」
「まぁ飲みたい時もありますよね」
「桐生は今来たのか? 俺が来た時には誰もいなかったようだが」
「1時間前からいますよ。資料が出来上がったんで営業部のデスクに置きに行ってたから入れ違いですかね?」
「それは感心だな。俺も見習わないとな」
桐生は積極的なタイプではないが確実に成果を上げている1人だ。
仕事を増やしても文句を言ってる様子もなくやりこなしている。休日出勤の中ではよく一緒になるが実は野心があるヤツなのかもしれない。
「そういえば少し前まで藤井がいましたよ」
藤井という言葉に一瞬コーヒーを持っている手が止まる。
「あぁ、入り口で見た。キャリーケース持ってたけどどこが行くのか?」
あまりわざとらしくならないように言ってみたつもりだ。
「話さなかったんですか?」
「見かけただけだからな。会ってはない」
「へぇ〜、じゃあ何も聞いてないんですね」
「あぁ、そうなるな」
桐生の言葉はあきらかに俺に対して突っかかってるように感じるが俺には身に覚えがない。