上司と私の偽恋愛 ※番外編追加しました※
結城課長はずいぶんお腹が空いてたみたいで連れてこられた創作和食のお店では口数も少なくとにかく食べていた。
口数が少ないのは私のせいかな?
でも不思議とこの空気は嫌じゃないんだよね。
なんでだろう?
ひょっとして彼がそういった雰囲気にしてくれてるとか?
それとも私が鈍感すぎなのか?
今日はなんだか考え事ばかり。
どうせ、考えても答えは出ないんだしもうやめよう。
食事を済ませてお店を出たのは8時半過ぎ。
「ごちそうさまでした」
店内を出て結城課長にお礼を言うと「あぁ」と軽い返事で返される。
毎回ごちそうになるのはやっぱり気が引けて本音を言えば私も少しは払いたいのに、今日も結城課長は私からのお金を受け取ってくれなかった。
大通りに出てタクシーを拾いそのまま結城課長のマンションに向かう。
何度か来ているけどなかなか慣れない。
だって結城課長の住んでいるマンションは見上げるほどの高さで、エントランスにおいてあるインテリアなんかはどれも素敵で誰が見ても高級な物とわかるだろう。
うちの会社は同業者の中でもお給料は多い方だけど役職つくとウンと増えるのかもしれない。でなきゃこんな凄いところ住めないよね。
思えば結城課長が連れてってくれるお店はいつも高級なところが多い。
よくよく見ればスーツもブランド物だし、身につけてる物全てそうだ。
ふと、頭に浮かんだ疑問。
……私って本当にこの人と付き合ってていいのかな?
部屋に向かってどんどん進む結城課長の背中を追いながら、このまま部屋まで行くべきなのかなんだか迷ってる自分がいた。