上司と私の偽恋愛 ※番外編追加しました※
一筋の光
目を開けると涼太が椅子に座っている姿が見えた。
「具合はどうだ?」
そっか、私あのまま気を失ったんだ……。
お母さんは?
慌ててベットから起き上がるけど体が怠くて目が回る。
「お母さんは?」
「手術は無事終わったよ。もう大丈夫だ」
涼太の言葉にホッとして涙が溢れた。
「今日はここで休め。亜子も入院することになったら俺たちが困る」
そう言ってベットから起き上がった私をもう一度寝かせて、飲み物を買いに行くと言って部屋から出ていった。
横になりながら窓の方に目をやるとカーテンの隙間から真っ暗な外が見えた。
どれくらい寝てたのかな……。
ふと結城課長の顔が頭に浮かんだけれど何も考えられずそのまま朝まで眠ってしまった。
翌朝、看護師さんに断って涼太とお母さんのいる集中治療室へ入った。
お母さんの体にはたくさんの機会が取り付けられていて痛々しく見える。
「亜子大丈夫か?」
部屋にいたお父さんは私を見るなり心配そうな顔をして話しかけてきた。
「もう平気。お母さんは?」
「まだ意識が戻らないけど先生はじきに目を覚ますだろうと言っていたよ」
お父さんの目、充血してる。
あまり寝ていないのかも……。
「お父さん、しばらく私ここにいるから交代しよう」
「亜子、仕事は?戻らなくていいのか?」
「しばらくお休みさせてもらう。お母さんの側にいたいの」
「そうか、そうだな。お母さんも亜子を見たらきっと喜ぶだろうな」
お父さんは、9時過ぎに回診があるから先生の話を聞いてから帰るよと言うので、先に私と涼太で家に戻ることにした。