上司と私の偽恋愛 ※番外編追加しました※
「結城です」
「あら、どうぞ」
インターホン越しにお母さんの陽気な声が聞こえて尊さんは躊躇なくドアを開ける。
「遅くなってすみません」
「全然よ! 思ったより早かったのね! さっ、入ってちょうだい」
私が呆気にとられてるうちに尊さんは靴を揃えて家にあがる。
「亜子行こう」
どうなってるの?
どういうこと?
尊さんに着いていくように家の中に入ると、リビングにはお父さんと涼太もいる。
「遅くなってすみませんでした」
「いやいや、構わないよ。亜子上着を預かってあげなさい」
お父さんに言われるまま尊さんから上着を預かってハンガーにかける。
「その調子じゃ上手くいったようだね」
「おかげさまで。色々とありがとうございました」
涼太に言われて尊さんは深々と頭を下げる。
「ちょ、ちょっと待って! どういうこと?」
なんとなく流れでここまできたけれど、一体何がどうなってるいのかさっぱり分からない私はみんなに問いただす。
「尊くん、亜子に話してないのか?」
「種明かしはここに来てからでいいと思いまして」
「あら? じゃあ亜子はまだ何も知らないってこと?」
何も知らない私をよそに楽しそうに話しているみんなを見てだんだん腹が立ってきた。
「じゃあ、俺が種明かししようかな」
半泣き状態の私に涼太はやれやれといった顔をして話し始めた。