上司と私の偽恋愛 ※番外編追加しました※
私の秘密
時刻はすでに夜の10時。
昨日残業しないで帰ったからある程度覚悟してたけど、一日中パソコンの画面ばかり見ていていたら目がチカチカしてきた。
30分前まではもう少し人がいたはずなんだけど、今は見渡す限り私1人。
椅子に座ったまま机から少し離れ「ん〜〜〜」と唸りながら思いっきり伸びをした。
「あと30分だけ頑張ろうかな」
後ろに束ねていた髪をもう一度結び直し気を取り直してパソコンの前に座り直すと、いきなり首筋に冷たい感触が当たった。
「冷たっ」
振り向くと帰ったはずの桐生が立っていた。
「目覚めた?」
ニッコリしながら見下ろしている桐生に対して私は疑問を投げかける。
「何でいるの?」
私の問いに子犬みたいな可愛い桐生の表情がいかにも不満と言いたげな顔に変身した。
「差し入れ持ってきてやったんだろー」
よく見たら桐生はコンビニの袋を2つ一緒に持っている。
桐生は私のパソコン画面に近づいて「終わりそう?」と聞いてきた。
「あと30分くらいやれば終わるよ! 大丈夫!」
桐生は私の返事を聞きながら自分の席に着きパソコンの電源をつける。
「俺も手伝えば短縮になるな! とりあえず半分よこせ! あ、とりあえず冷たい方の飲み物飲んでシャキッとしろ!」
桐生は喋りながらパソコンのキーボードをカチカチさせてどんどん仕上げていく。
桐生が持ってきた冷たいブラックコーヒーの缶を開け半分くらい一気に飲んで目を覚ます。
シーンと静まり返ったオフィスの中で2人して黙々とやる事15分。
桐生のおかげて予定の半分の時間で終えることができた。