上司と私の偽恋愛 ※番外編追加しました※


支度をして朝早くにマンションを出ると車で長野に向かう。
行き先はまずCHAINON(シェノン)店舗へ。

「あ、結城さんおはようございます! 今日は早く着きましたね」

「森山さんおはようございます。ええ、首都高が空いてて予定より早く来れました」

「そういえば、新しいアルバムが増えたんですけど見てみませんか?」

「ぜひ!」

森山さんに案内されながら来客室へ向かい、すでに手元に用意しているそのアルバムを俺の目の前に差し出した。

ここに通い始めるようになって3ヶ月が経つ頃には、森山さんともずいぶん親しくなれて彼からインテリアのノウハウを教えてもらえるようにまでなっていた。


真剣にアルバムの写真を見ているとフロアーから藤井社長が入ってきた。

「結城くんおはよう」

「藤井社長おはようございます」

スーツをキチッと着こなす藤井社長はいつも余裕の笑みだ。
男の俺から見てもカッコよく見える。

「写真を見てるんだね、時間になったら呼びに来るよ」

「はい。それまでしっかり見させていただきます」

「ハハッ! 結城くんは本当に真面目なんだね。聞きたいことがあったら森山に聞くといいよ」

そう言って藤井社長は部屋を出て行った。
毎週来てはこうやって店舗に寄っているが、なかなか契約に結びつかず何かヒントはないものかと知識は増やすものの何一つ掴めないでいた。


1時間くらいしたころ俺の元に藤井社長が戻ってきた。

「少し早いけどお昼に行かないか?」

「えぇ、そうしましょうか」

俺たちはいつもの喫茶店へ向かう。


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