上司と私の偽恋愛 ※番外編追加しました※


「亜子ちゃんに言われると大丈夫な気がしてきたわ!」

「はい! 絶対大丈夫です、頑張ってください!」

「そうね! さっそく帰ったら智史と電話してみる! 亜子ちゃんありがとう、あ、尊じゃあね!」


真奈美はバタバタと嵐のように去って行った。

「ふふっ、行っちゃいましたね」

「つーか、ここに来る意味あるのかよ」

見送った後リビングに戻り、真奈美に出したコーヒカップを片付ける亜子の手を止め無理矢理抱きしめる。

「嫌なら言えよ」

「え? 何がですか?」

……非常に言いにくい。

「その……俺が真奈美を好きだったこともあったわけだし……」

言いながら抱きしめる腕に自然と力が入るのが分かる。

「大丈夫ですよ。最初はイメージと違いすぎて戸惑っちゃいましたけど、私真奈美さんのこと好きです。それに尊さんが真奈美さんのこと好きになるのなんだか分かります」

おい! ちょっと待て!

「今は好きじゃない! 俺が好きなのは亜子だけだ‼︎」

どうすればこの想いが伝わるのだろう。
以前の俺ならこんな時どうしただろうか?
誤解されても困るし、考えるよりもとりあえず亜子にキスをする。


「ふふっ、疑ってなんかいませんよ」

…………完全に亜子の方が上だ。
何言ってんだ、俺は。情けない。


「あ、そう言えば尊さんに見てもらいたいものがあったんだ!」

亜子は俺の腕の中からするりと出ていって一冊のファイルを持ってきた。

「ロビー用のソファーとチェアーのカラーを手直ししてみたんです」

そう言ってダイニングテーブルの上に置いたファイルを開き俺に見せてくれた。

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