上司と私の偽恋愛 ※番外編追加しました※


「綺麗に整地されてるところなんだな」

「そうですね。でもここ最近ですよ。数年前までは何もない場所でしたから」

辺り一面まるで黄色の絨毯のように咲いている菜の花畑。
私は尊さんとお墓の前に来ていた。
パパとママが眠っている場所。


パパ、ママ。私、明日尊さんと結婚します。
今とても幸せだよ。


手を合わせて天国にいるパパとママに話しかける。

「俺もいい?」

尊さんは私の隣にかがみ、手を合わせて静かに目を閉じる。
その時間はずいぶんと長い。

「よし! 報告完了!」

「何言ったんですか?」

勢いよく立ち上がる尊さんを見て聞いてみたくなった。

「ん? 亜子を生んでくれてありがとうってのと、俺と引き合わせてくれてありがとうって。あとは必ず幸せにしますって伝えたよ」


ジンと胸の奥が熱くなる……。
尊さんの言葉、パパとママに伝わったかな。
パパ、ママ、私本当に幸せです。


それから事務所にいるお父さんとお母さんに会いに行った後、CHAINON(シェノン)の店舗にいる涼太に顔を出して私たちは東京へ帰った。



夕飯の準備をしていると後ろから尊さんが抱きしめてくる。
普段、尊さんは仕事が忙しく帰りが遅くて私の方が先に帰って夕食を作っているけれど、一緒にいる時は決まってこうなる……。

「尊さん、料理できません……」

「そうか? じゃあもう少しだけ」

いつもそう。
一緒に暮らすようになってから、尊さんは以外とベタベタするのが好きなんだと知った。


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