上司と私の偽恋愛 ※番外編追加しました※


「亜子、ベット行く?」

「行きません! 今日はダメです!」

「は? なんでだよ!」


だって毎日じゃないですか……。
それに明日は大切な日なわけだし。


「明日は結婚式ですよ! 万全な状態で臨みたいので今日はダメです!」

「万全な状態って……戦いに行くような言い方だな」

そんなこと言ったって、一生に一度の大切な日なんだから、体調を整えておきたいんだもん。
私は何を言われても引きませんよと言った顔で尊さんを睨みつける。


「チッ……分かったよ」

舌打ちをしてちょっと拗ねたように言った尊さんは私にキスをする。

その夜は尊さんが言うことを聞いてくれたおかげで、いつもより早く眠りにつくことができた。


「亜子、支度できたか?」

「はい、大丈夫です」

「よし行くか」

向かった先は区役所。
教会に向かう前に婚姻届を提出してから行くことにしたのだ。


「結城様、確認させていただきました。おめでとうございます!」


担当者の方に祝福され区役所を出る。


「……なんかこんな感じなんですね」

「まあ、提出するだけだからな。あの場でパァーッと盛り上がるのも変だろ?」

尊さんの車の中で緊張感が一気に抜ける。
たしかにたった一枚の紙で夫婦になれるんだもんね。


だけど……。
それでもあんなに薄い紙なのに、受理された瞬間から私たちの繋がりはうんと強くなったように感じられるのはとても不思議。


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