上司と私の偽恋愛 ※番外編追加しました※
教会に向かうと私たちを担当してくれるスタッフさん達は慌ただしく動き回る。
尊さんとは別々の個室に通されて、私は担当の美容師さんにメイクと髪をセットしてもらいウエディングドレスに身を包む。
衣装選びに行った時に私が一目惚れしたこのドレス。
あまり派手な物が苦手でかと言って可愛らしいのも似合わない私は、シンプルでスタイリッシュなスレンダードレスを選んだ。
とろみのある滑らかな素材が美しく見せてくれて私じゃないみたい。
「とてもお綺麗ですよ!」
担当者さんにそう言われて、鏡に映る自分を見ると一気に緊張感が襲ってくる。
こんなにドキドキするものなの?
なんだか怖くなってきた……。
「失礼します。本日はおめでとうございます。お式の前に新郎様がひと目見たいと仰いまして」
スタッフさんの後ろから細身のブラックタキシードを着た尊さんが入ってきて私のところまで歩み寄る。
尊さんカッコいい……。
「亜子。綺麗だ」
「ありがとうございます。尊さんもカッコいいです。……なんだか緊張してきちゃって……」
緊張感気味な顔をしてるのがわかったのだろうか?そんな私を見て尊さんはクスッと笑って言った。
「じゃあ、亜子の緊張が取れるようにしてやろうか?」
「え? はい、お願いします!」
そう言うと尊さんは口角をクッと上げて更に近づいた。
「今夜は寝かせないからな。昨日の分も含めて愛してやる」
「なっ‼︎ 何言ってるんですかっ⁉︎」
「ハハッ! 緊張取れただろ? じゃ、後でな」
狼狽える私をよそに尊さんは担当者さんと部屋を出て行った。
こんな時になんてことを言ってるの⁉︎
あれ?……でも少し緊張が取れたかも。