上司と私の偽恋愛 ※番外編追加しました※
リビングにあるミニチェストや仕事用のデスクにベット。そういえば目の前にあるローテーブルもそうだ。
お母さんのデザインを基にお父さんと涼太が作ってくれたアンティーク調で私好みのインテリアたち。
「みんな甘いなぁ」
涼太のように立派な社長になって親孝行できるわけじゃないし会社で良い成績を残しているわけでもない。
私は恩返しを何もできてないのに家族は離れていても私を守ってくれている。
だけどいつからか私の心に変化が生まれた。
実家に帰るたびに「ただいま」が言い辛くなっていた。
家族は私のことを普段と変わりなくいつも通りに迎えてくれるのに素直に娘として交れなくなっていった。
ここに私がいなかったらってどんどん卑屈になっていって去年お母さんの誕生日、東京に出てからはじめて会いに行くのをやめてしまった。
私の心の変化に気づいた涼太はどうやら今年は強制的に連れて行く気みたいだ。
私はソファーから立ちあがりミニチェストに向かう。
1番上の引き出しを開けると掌より少し大きめの小箱を手に取りうわ箱を開ける。
中にはお母さんが好きな花にパールをあしらいキラキラと輝いているブローチが入っている。
仕事の関係で知り合ったジュエリー店がオーダーメイドの商品を作ってると聞いて真っ先にお母さんのことが頭に浮かんだ。
私はお母さんの好きな薔薇の花をモチーフにデザインしてジュエリー店の人に作ってもらった。
「今年は行こう!」
ちゃんと私から渡したい。
私は決意を新たにそっと箱を閉じてミニチェストの引き出しの中にしまった。