上司と私の偽恋愛 ※番外編追加しました※
翌朝、オフィスに向かう途中エレベーターの前で結城課長と一緒になった。
「結城課長、おはようございます」
無視するのも変だし普通に挨拶をしてエレベーターの中に入る。
朝はいろんな人の香水の匂いがキツくて電車やエレベーターみたいな狭い空間はくらくらしてくる。
目的の階に着くと素早くそこから脱出して深呼吸しオフィスに向かって歩きはじめようとした瞬間、後ろから「藤井」と結城課長に呼び止められた。
「なんでしょうか?」
立ち止まって振り返るとすぐそこに結城課長が立っていた。
「昨日は悪かった」
結城課長は少し疲れた顔をしている。
最初何を言っているのかわからなかったけど私が帰ったことを言ってるのかも。
それなら私も謝ることはある。
「私こそ電話の途中だったのにタクシー来るまで待っててもらって……すみませんでした」
広い通路の端っこで話してはいるがあまり聞かれたくない内容だけに早く話を終わらせたい。
私の気持ちが伝わったのか、結城課長は「また連絡するから」と言って私を残して先にオフィスに入って行った。
ランチタイム。
今日は雅も私もお弁当を持ってビルの最上階に行く。
そこは展望台となっていてお弁当を広げて食べれるスペースも設置されているので女性社員に人気の場所なのである。
「亜子、 朝見たよ〜。 課長と何話してたの?」
満面の笑みを浮かべて さぁー話してごらん!と言う目で私を見つめる。
私は昨日あった結城課長との事を包み隠さず雅に話した。