上司と私の偽恋愛 ※番外編追加しました※
藤井が入っていったのはドリンクコーナーだ。
“ 早い休憩だな ”と頭の中でツッコミながらしばらく彼女の後ろ姿を見ていたが、じっと窓の外を眺めてるだけの姿を見ていてもどうすることもできず俺はゆっくりと近づいていった。
髪を1つに纏めて落ちる髪の隙間からうなじが見える。
“ 抱きしめたい ” 一瞬湧き出た衝動を抑えつつ
藤井が座っている椅子の背もたれに手を預け
「おい!」
と声をかける。
「……お疲れ様です」
ゆっくり見上げて数秒止まったあと彼女は口を開いた。
抱きしめたい気持ちを理性で抑えるせいか少々無愛想になってしまう。
だが彼女は俺を見て “ ふふっ” と笑った。
どうやら昼間同じようなことがあったようで思い出し笑いだと言って俺に笑顔を向けてくれた。
ここ最近出張続きだったし会社にいても残業か相手先との会食なんかで藤井とはなかなか会えないでいる。
藤井を前に手を出さないでいられる自信もなくなってきたのもあって今夜の予定がないことを確認し、一方的に待ち合わせ場所を決めた俺は足早にドリンクコーナーから出て行った。
そこからの俺は驚異的な集中力で溜まった仕事を片っ端から片付けて、出張明けを理由に
18時30分には会社を出て待ち合わせ場所に向かった。