上司と私の偽恋愛 ※番外編追加しました※
「とりあえず一度経験してみるのもいいものだぞ! 思いがけず気の合う人と出会うこともある。 お前さえ良ければ相手先に話をすすめるが」
「いや、 待てって!」
なんだかんだ言っといて話を進めようとする兄の言葉を切る。
「結婚は考えてないしまだしない! でも付き合ってる人ならいる」
「なら一度連れて来い」
「は? なんでそうなるんだよ?」
電話の向こうでため息が聞こえる。
「仕事が忙しいのはわかるが、彼女の1人くらい見せてやれ! 父さんも母さんも心配してるんだ。 でないと話を進めるが?」
結局兄に上手く丸め込まれた。
俺には兄の他に2つ上の姉がいるのだが、この2人には昔から口で勝ったことが一度もない。
家族仲は別に悪いわけではない。寧ろ良い方だろう。
兄と姉は家業を継いで親父と共に頑張っているようだが俺はわりと好きな事をさせてもらっている。
たしかに20代の頃の俺は女関係については酷かった。そろそろ落ち着けってのもわからなくもない。
「だからって見合いは急だろ!」
藤井を連れてくしかないか?
いや、藤井はそもそも一緒に行ってくれるのか?
「めんどくせぇ」
ひとまず頭の片隅にだけ入れといて東京に帰ってから考えることにしよう。
なんだか飲み足りなくてもう一本買うために財布を持ちだし俺は自販機に向かった。