上司と私の偽恋愛 ※番外編追加しました※
やがて車は閑静な住宅街に入り結城課長は高級車ばかり並ぶガレージの空いているスペースに駐車する。
「行くぞ!」
車を降りて結城課長の後を追う。
「せっかくだから表から行こう」
そう言って案内された道はたぶん一般的な家庭でいう庭なるものだと思うけど庭園並みの広さにおもわず目を見張る。
「あ、あの、表からって事は裏からも行ける道があるんですか?
気になって聞いてみたらガレージからそのまま玄関先まで続いてる通路があるらしい。
雨の日や大きな荷物を持って行く時はとても便利なんだそうだ。
いったい結城課長って何者なの?
なんだかご両親に会うのが怖くなってきた。
どう見ても不釣り合いだよね。
玄関先のインターフォンを鳴らさず結城課長はどんどん中へ入って行く。
私は小声で「おじゃまします」と言ってあがらせてもらった。
リビングに入ると2人の男性がソファーに座っていて話しの途中だったみたいだけど、私たちに気づきソファーから立ち上がった。
「予定より早かったな」
「あぁ、つか皆んないるのかよ」
結城課長より少し年上の男性はソファーから立ち上がって私たちの方に近づいてきた。
「はじめまして。 尊の兄の仁です。 今日はせっかくの休みの日に悪かったね」
「いえ、とんでもないです。 あの、挨拶が遅れまして申し訳ありません。 た、尊さんとお付き合いさせていただいてます藤井亜子と申します」
ちゃんと笑えてるのか緊張しすぎてわからない。