上司と私の偽恋愛 ※番外編追加しました※



結城課長のご家族に連れてこられたお店は自宅からそれほど遠くなく住宅街の中にあった。

クリーム色の外壁はビルの中に入っているカッチリとしたイメージのお店というよりは、どちらかというと小ぢんまりとしていて家庭的な温もりのあるお店であった。


「結城さん、いらっしゃい。 ご用意できてますよ」
50代位の綺麗な女性の方が出迎えてくれて奥の個室へ案内される。

「あら?こちらの可愛らしい女性が尊くんの大切な方なのかしら?」

「麻紀さん、ご無沙汰しております」
案内してくれた女性が親しげに聞いてきて結城課長も挨拶をした。


麻紀さんはイタリア人のご主人と数人の従業員さんたちとで20年前からここにお店を建ててやっているんだそう。

結城課長が小さい頃から家族でこのお店に通ううちにお母様と麻紀さんはすっかり仲がよくなってお茶飲み仲間だと教えてくれた。


前もって予約を入れていたらしくランチのコース料理が運ばれてきた。
テーブルの上には彩り豊かな料理が並ぶ。
家庭料理がメインの料理はどれも優しい味で美味しい。


結城家はお姉さんの玲さんがムードメーカーのようで、玲さんが結城課長をいじってはお兄さんの仁さんが宥めてご両親はそれを笑顔で見ている感じで終始笑い声が絶えず楽しく終えることができた。


食事を終えるとご両親は「家でゆっくりしてって」と引き止めるも結城課長は頑なに断って私たちはそのまま帰ることになった。


帰り際、玲さんと連絡先を交換した。
玲さんは「尊に何かされたらいつでも私にいってね!」と胸の前で拳を作って見せてくれた。
私にとってもお姉さんができたみたいで素直に嬉しかった。


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