上司と私の偽恋愛 ※番外編追加しました※
「疲れただろ。 悪かったな」
信号で止まると結城課長は私の方を見て謝ってきた。
「いえ、楽しかったです。 私の方こそありがとうございました」
私も結城課長を見てお礼を言った。
最初は断ろうかと思ったけど結城課長の意外な一面を見れて楽しかった。
「なぁ、まだ13時だし亜子はこの後予定ある?」
「え? あ、ありませんけど……」
「ならこのまま出かけるぞ。 たまにはデートしよう」
「デート……ですか?」
「そ、よく考えたら俺たちそういうのしたことないだろ?」
今日の結城課長は一体どうしちゃったんだろう?
デートのこともそうだけど2人になった今も私のことを名前で呼んだ……。
「亜子が行きたいところなければ勝手に決めるけど」
「結城課長! あ、あの、名前ですか?」
たしかに2人でいい雰囲気の時はたまに名前で呼ばれるけど……なんか慣れなくて恥ずかしい。
「ん? あぁ、名前でいいだろ?」
それが何か?って顔で言いいながら続ける。
「名前だと会社で間違うかもって心配してるんだろ? 俺はそんなドジはしねぇ。 よって亜子は亜子だ」
上手く言いくるめられてる気がするけどこういう言い方をする時の結城課長は何を言っても無駄だ。
「亜子も俺のこと名前で呼べよ。この際だからちょうどいい!」
大人しく従おうとした矢先、結城課長はまた突拍子もないことを言ってのける。
「私もですか? いや、それは無理です!」
顔を左右にブンブン振って全力で抵抗する!
それだけは無理!
絶対無理だって!