上司と私の偽恋愛 ※番外編追加しました※
どうしてよりによって今日思い出すんだろう。今までだって何度も桜を見たことあったのに。
しかも泣いちゃったし……。
「はぁぁ……」
静かなリビングにため息が響く。
今日は色々あったな。
そういえば尊さんの実家にCHAINONでオーダーした家具があったっけ。
尊さんのお父様がとても大切そうに扱っているのが伝わって私まで嬉しく思えた。
今度お父さんに教えてあげよう。
今日はもうシャワーを浴びたらすぐに寝ようと決めて、パジャマを取りに寝室へ戻る。
電気を付けてクローゼットの近くへ行くとちょうど鏡から自分が映って見えた。
ネイビーのワンピース、尊さんが似合うって言ってくれた。
今日の尊さん、何だったんだろう……。
考えてみたら手を繋ぐのなんて初めてだ。
それに……キスもした。
しかも人前で。
思い出しただけで顔が熱くなる。
いままでなんていうかこんなに甘い尊さんは見たことない。
ご両親に会うための雰囲気作りとか?
マイナスな事を考えてしまう悪い癖が出る。
私は頭を左右にブンブンと振り気持ちを入れ替える。
どっちでもいいや。
それでも私は今日の尊さんにたくさん救われたと思う。
それに楽しかったしなんだかフワッとして心地良かった。
「また一緒に出かけられたらいいな」
もっと一緒にいたい……今日は素直にそう思えた夜だった。