上司と私の偽恋愛 ※番外編追加しました※
バレた想い


今朝は目覚めが良かったのもあって少し早い時間の電車に乗ることができた。
いつも電車内でも駅中でも人混みに揺られて駅を出るとグッタリしてしまう。
地方ではこの人混みはなかなか経験できるものではないが何年経っても慣れるものでもない。




「おはよ」

後ろから声がして振り返ると眠たそうな顔をして首をグルグル回している桐生が立っていた。


「桐生おはよ!」

「………… 」

「ん? 何? 」

先に挨拶してきたのは桐生の方なのに私の挨拶に彼は一瞬黙ったかと思ったら訳のわからない事を言ってきた。

「いや、 解決したならいい」

「解決って何が? 」

「いや、いいって!」


言葉を濁す桐生になんとなくムッとしてもう一度聞き返す。

「そんなこと言われたら気になるでしょ! 何のこと?」

「……この間言ったことだよ」

「この間って何? 」

「だから! ここの事だよ!」

私のしつこさに最後は桐生が苛ついて語気を強くして言った。

桐生は “ ここ ” と右耳の裏側を右の人差し指で当てて教えてくれた。

「まぁ、 元気になったならいいけどここで言うことじゃなかったな」

「ううん、私こそごめん」

私を心配してくれてのことだとは思わなくて少し悪そうに話す桐生に申し訳なく思う。

「おまえ今日予定ある? 話したいこともあるしさ、長谷川も入れてひさしぶりに飲み行こうぜ」

切り替えてくれたのかニッと歯を見せていつもの人懐こい表情で誘ってくれた。

「いいよ! 3人で行くのもひさしぶりだしね! 雅にも聞いてみるね」

オフィスに着いた私たちはそう言ったあとそれぞれのデスクへ着いた。

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