上司と私の偽恋愛 ※番外編追加しました※

桐生はそれでも引き下がらずアルコールのせいか少し意地悪な言い方になってくる。


「まぁ結城課長に言い寄られたらどんな女も落ちるよな。 でもさ、 この間見た時は違う女連れてたぜ。 仕事はできても案外そっちの方はだらしないのかもな」

「ちょっと! そういう言い方やめてよ! そりゃあたしだって納得できないとこもあるけどちゃんとしてるとこもあるんだってばっ! 」


桐生のトゲのある言い方にイラっときた雅はバンっとテーブルに手をついて勢いよく言い放った。


「なんで長谷川がムキになるんだよ! 藤井がムカつくならわかるけどさ」


桐生はフゥーっと息を吐き、テーブルの上で肘をつきながら指を組んでゆっくりと私の方を見た。


え? なんで私が出てくるの?
私も雅も固まっていると桐生は少しバツの悪そうな顔をして話しはじめた。


「 悪りぃ、 嫌な言い方だったよな。 俺さ、昨日結城課長と藤井が車の中でキスしてるの見たんだ」



見られてた。
しかもよりによって桐生に!


「亜子! それ聞いてない! キスって何?」

「あれ? ひょっとして長谷川、藤井と結城課長のこと知らなかった?」

「知ってるに決まってるでしょ! 私が言ってるのは昨日のことよ!」


言い終えた瞬間、雅はハッとしてすぐに桐生を睨みつけた。



「……あんた謀ったわね!」


自分のことだというのに私は2人の話についていけず、黙ったままじっと聞いているしかできなかった。



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